節句文化とは?
一年の節目に、願いをこめて
「節句(せっく)」とは、季節の節目に、神様に感謝し、家族の健康や幸福を祈る日本の伝統行事です。
特に、子どもの健やかな成長を願う行事として親しまれてきたのが、
3月3日の「桃の節句(雛祭り)」
5月5日の「端午の節句」
どちらも、単なるイベントではなく、子どもを守り、幸せを願う「お祓い」や「予祝」の意味が込められています。
節句に人形を飾るという風習は、日本ならではのやさしさと祈りの文化なのです。
雛祭りと
雛人形について
雛祭りのはじまり
雛祭りのルーツは、平安時代の「流し雛」にあります。藁で作った人形に、赤ちゃんの災いや穢れ(けがれ)を移し、川へ流して清めていた風習です。
やがて人形は流されず、家に飾るものへと変化。人形に災いを封じ、女の子の身代わりとして守るという祈りのかたちとして定着しました。
赤い毛氈(もうせん)は神様を迎えるしるし。その上に人形を並べ、願いを込めてお供えするのが雛祭りの基本の形です。
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雛人形は「その子の分身」
お雛様は、その子一人ひとりのための分身です。災いを代わりに受け止め、成長と幸せを見守り続けてくれる存在。だからこそ、使い回さず、一人に一組を贈るのが理想です。
また、お母様やお祖母様のお雛様と一緒に飾るのは、家族の想いと歴史をつなぐ素敵な方法です。
15人飾りの意味
七段飾りに並ぶ人形たちは、
お雛様の未来の幸せな人生を
描いた「予祝」の世界です。
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一段目 殿(との)・姫(ひめ)
殿(との):高貴な人を表し、男の子の象徴として、力強さや責任感を表現します。
立派な衣装を着せた男性の人形です。姫(ひめ):女の子の象徴として、優しさや美しさを表現します。
殿(との)に見合う立派な衣装を着せたのがお雛様です。女の子の赤ちゃんの分身となります。 -
二段目 三人官女
結婚を象徴する女性たちです。
真ん中の女性が、身分の高い女性で、眉を落とし、お歯黒をした成人女性を表しています。
左右の女性は未成年のお手伝いの女性を表しています。 -
三段目 五人囃子
楽隊を表し、音楽を通して、喜びや幸せを表現します。
五という数字は「土」を意味しています。
「土」には木々を育てるという力があります。同様に、お子さんがすくすく育っていくことを願う人形になります。 -
四段目 随身(右大臣・左大臣)
お雛様を守る護衛。知恵と力の両方を備えた存在です。
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五段目 三人仕丁
雛人形の五段目に飾られる三人の男性の人形です。
それぞれの表情が異なり、泣き(若い人)、怒り(お父さん)、笑い(おじいさん)の表情をしています。
表情で人の一生の幸せというのはこのようなものだという願いを込めた人形です。 -
六・七段目 嫁入り道具・桜橘・重箱など
花嫁道具として、鏡台・箪笥・御駕籠などが並びます。
特に4段重ねの重箱には、「幸せがもう一段重なりますように」という願いが込められています。
飾るだけでなく、その意味を知ることで、お雛様はもっと身近で、愛おしい存在になります。
端午の節句と
五月人形について
男の子の健やかな成長と強さを願って
5月5日は「端午の節句」。男の子が健やかに、そしてたくましく育つようにと願いを込めて、鎧兜や武者人形、鯉のぼりなどを飾り、お祝いをします。
この日には、古くから受け継がれてきた意味と祈りが込められているのです。
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鎧や兜は「身を守る守護神」
端午の節句に飾る鎧や兜は、病気や災いから男の子を守ってくれる“お守り”のような存在です。その由来は、戦国時代の武家にあります。主(あるじ)が戦に出ている間、家では鎧を床の間に飾り、身代わりとして家族を守るよう願った風習がありました。それが現代にも受け継がれ、五月人形として定着しています。
鎧兜は、ただ飾るだけのものではありません。
そこには、「どうか元気に育ってほしい」「困難にも負けず、自分らしく生きてほしい」という家族の願いが込められています。
鎧や兜は、勇気・強さ・責任感の象徴。男の子の人生を守る“守護神”のような存在なのです。
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武者人形は「成長を見守る存在」
五月人形の中には、武将や英雄をかたどった「武者人形」もあります。
これらは、ただ立派な姿を映した人形ではなく、子どもに理想の姿を重ねて祈る“未来像”として飾られるものです。
勇ましい姿の中には、『正義を貫く心』『困難に立ち向かう強さ』『家族や人を大切にする思いやり』など、“人としての美しさ”への願いが込められています。
英雄豪傑をかたどった武者人形は、男の子の成長を見守ってくれる、その子の守り神のような存在です。
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鯉のぼりに込められた願い
端午の節句といえば、やはり「鯉のぼり」。鯉は流れの激しい滝をも登るとされる、生命力の象徴です。空を泳ぐ鯉のように、「この子がどんな逆境にも負けず、大きく羽ばたいていけますように」という希望が込められています。
特に、上を向いて泳ぐ姿は、“上昇志向” “夢に向かって前進する姿”の象徴でもあります。
一人ひとりに贈る、たった一つのお守り
五月人形もまた、お子さまに降りかかる災いを身代わりに受ける存在です。
だからこそ、その子だけのものとして贈るのが望ましいとされています。
人形工房 吉貞の想い
節句に人形を飾ることは、ただの季節の行事ではなく、家族の深い祈りと愛情を形にした文化です。
雛人形も五月人形も、お子さま一人ひとりに降りかかる災いを代わりに受け止め、成長を見守ってくれる“分身”のような存在。
だからこそ、できるかぎりその子のためだけの『新しい人形』を贈っていただきたいと、私たちは考えています。
人形は、一緒に歳を重ねていく“もうひとりの自分”のような存在。親から子へと贈られる、人と人の絆のしるしでもあります。
どうぞ、お子さまの健やかな未来を願いながら、
ご家庭に合った人形を心を込めてお選びください。